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# ステップ
 + ステップの目的
 + ステップ前半-ヒップファースト
 + ステップ前半-エッジング
 + ステップ後半-ハの字ステップ
 + ステップ後半-踏み足の着地
# ステップの目的
ステップで最も重要なことはいかに効率よくエネルギーを稼ぎ、伝えるかにあります。
「ステップ」をわかりやすくいえば「並進運動」となります。
体の横移動である並進を起こし、運動エネルギーを大きく稼ぐことがステップの目的なのです。
 
ステップでは以下の2つのエネルギーを稼ぐことが目的です。
・最初は体の重心移動による並進運動のエネルギー
・並進から、体をスピンさせるための回旋エネルギー
# ステップ前半-ヒップファースト
まず、並進エネルギーを稼ぎ出します。ステップ前半は並進エネルギーを稼ぐことを重点的に目指します。
さらに言えば、後に稼ぐ予定の回旋エネルギーを逃さないように残しておくのも目的です。
 
まず、重要なのがヒップファーストというステップ前半での重心加速体勢です。
ヒップ(尻)がファースト(先行)すると言うことなので、リフトアップからの軽いくの字体勢をそのまま傾きを
大きくして、より深く「くの字」にするのです。すると尻が先行する形で並進が始まります。(図1)
fm-hippufa-suto.gif図1 尻が先行するヒップファースト。深いくの字状態。
ヒップファースト・くの字ステップで大事なのはその形ではなく、エネルギー獲得の条件がクリアできているどうかです。
1.エッジングの効いた、投球方向へ送り込まれている軸足
2.上半身が突っ込まず、後方に残っていること(ヘッドステイバック)
3.踏み出す足が先行せず、なおかつその膝も開いていないこと
これらを条件をクリアできているからこそこのくの字ステップ・ヒップファーストの意味があるといえます。
 
なぜこのくの字体勢である必要があるのかについての理由は次の3点からです。
1.下半身(尻、腰)先行であることで体のスピンが鋭くなる。
2.上半身の動作が遅れ、肩などが早く開くことを防ぐ
3.重心とのバランスの関係で並進しやすい
 
1.下半身(尻、腰)先行であることで体のスピンが鋭くなる
1つ目、下半身(尻、腰)先行で体のスピンが鋭くなるということですが、そのメカニズムはこうです。
人間の体の背中部分の骨(脊椎)は小さな骨が24個つながったもので構成されています。
その骨らを、下側、つまり下半身からスピンさせていくことで、効率のよい強いスピンができるのです。
逆に考えて、下半身先行でない、いわゆる上体の突っ込んだ体勢では下側からスピンすることはできず、
効率の悪いスピンになってしまうのです。上体が先にスピンしていては鋭いスピンは不可能です。
このように、上体・肩が先行してしまう体勢をショルダーファーストと呼びます。(図2)
fm-shoruda-fa-suto.gif図2 上半身(肩)先行のショルダーファースト。突っ込んだ状態。
このように極端に上体が先行していなくとも、地面に対しほぼ垂直の角度で上体が並進しているのも
状態が突っ込んだ状態だといえます。ヘッドステイバック・ヒップファーストが基本です。
 
2.上半身の動作が遅れ、肩などが早く開くことを防ぐ
2つ目、上体の動作が遅れ、開きにくくなるということですが、これも体のスピンに関係してきます。
上体が遅れる=開きにくくなると理解してもらえばわかりやすいのですが、上体先行の体勢では非常に
上体が開きやすいのです。これは体の重心とのバランス上なってしまうものなので、無理やり抑えようとすると
バランスを崩しかねないので危険です。
 
上体が早く開くと、投球に大きな影響を与えます。
粘りがなくなり、スピンが鈍くなるので球速の面で不利になりますし、
また非常にアンバランスなために投球のタイミングもバラバラになり、制球が定まりません
それ以外にも、打者からリリースポイントが見えやすくなったりもします。いいことなどまずありません。
挙げるとするならば、球が低めに集まりやすくはなります。しかし、逆にワンバウンドなどが
多くなってしまうというリスクもあり、圧倒的にリスクが多い事に間違いはありません。
 
要は、上体が早く開きやすいのです。上体が突っ込んだ状態からと、上体を遅らせたのでは
上体が開くタイミングがぜんぜん違います。ヒップファーストだと上体のステイバックから
前傾させるまでにも時間がかかるので、その分早く開くのを防げているのです。
体が開くのは遅くなりますが、上体には無理な運動をさせていないので自然な形で状態が抑えられます。
上体の開きを抑えているというよりは、開くまでを上手く稼いでいるといった方が正しいでしょう。
 
3.重心とのバランスの関係で並進しやすい
3つ目、重心との関係で並進しやすいとの事ですが、これは次項のエッジングにも関係してきます。
上体先行だと重心は前寄りになります。そうなると、イメージとして倒れ掛かるような並進になり、
並進できているように見えて実はそれほど並進できていません。これではステップの目的が果たせません。
下半身先行であれば、重心は後方に残ります。それはつまり軸足への力の伝動効率にいい影響を与えます。
 
よく軸足に体重を乗せるという指導がありますが、その正体はこれです。リフトアップの場合もあるようですが、
ステップの際に、ステイバックを行い重心を後ろ側に置くことで軸足の粘りを良くするのです。
 
# ステップ前半-エッジング
エッジングとは軸足を傾けるようにして重心を効率よく並進させる動作のことです。
言葉の由来は、スキー板で曲がる際に板を傾けて(エッジ)より力(反力)を強く稼ぎ出すための動作からです。
 
それを並進運動に取り入れたものが軸足のエッジングということです。(図3)
図3を見るとわかるかと思いますが、地面に対し軸足の内側の側面を地面に食い込ませるように傾けています。
これで踏ん張りをよくし、よりダイナミックな並進につなげようというのがエッジングの目的です。
 
地面に対し足の裏全体をべったりとくっつけてそのままの状態で踏ん張るのと、
エッジングのように食い込ませるように踏ん張るのとではエッジを効かせたほうが踏ん張る力が強くなります。
fm-ejji1.gif図3 軸足を内側へ食い込ませて並進補助、それがエッジング
 
では、良いエッジングと悪いエッジングとを比較してみましょう。(図4)
fm-ejjingu1.gif
左側が悪い例、右は良い(といってもまだまだですが)例です。ほぼ同じタイミングですが、重心の位置が
ぜんぜん違います。右のほうが大きく並進しています。=効率のよい並進をしているという訳です。
 
悪い例のように、軸足の膝を投球方向へ送り込めていないと、踏み出す側(投球方向)の足腰だけが進行し、
重心はほとんど並進せず、結局並進ができず、スピンも鈍く、ただ下半身が開いている状態になります。
つまり重心を後ろへ残しすぎて前へ力を出せていないのです。
 
このように、エッジングがうまく行えず、並進できずに重心が下がるような動作をディップと呼びます。
 
右側では、視点の角度が違うので少し比較しづらいですが、膝が送り込まれ、重心も大きく並進しています。
同じタイミングであるのにこの並進量の違いはエッジングが影響しているのです。
 
さらに、踏み出す足の開きにも明確な違いがあります。左は膝の方向が半分ほど開いていますが、
右はほとんど開いていません。エッジングは並進以外に、開きにも影響しているのです。
 
これは、腰は並進していないと、踏み出す足には開くしかバランスを崩すのを防ぐ手段はないためです。
この踏み足の感覚は、内捻りをして、太ももの裏側を見せ付けるつもりで、というのがよく言われています。
並進の感覚は「閉じたまま向かっていく」というようなイメージが大事です。
―――鋭いエッジング
さて、このエッジングですが軸足だけの意識では鋭く、深くなりません。
体全体を意識することでエッジングは向上するものだといえます。
まず、上体はヘッドステイバックを取り、重心を後ろへ預け、踏み出す足はエッジする軸足より
前方向へ先に踏み出さないように意識すること、つまり下半身の開きを抑えて並進することで
エッジングの鋭さが増し、並進スピードが向上し、結果球速が向上します。
しかし、並進が鋭くなるとその分制球が難しくなるのでバランスも考えることです。
# ステップ後半-ハの字ステップ
ステップが進み、並進エネルギーが大きくなると、次に回旋エネルギーを稼ぎ出します。
回旋は体のスピンです。そして、ステップでの回旋=下半身のスピンです。腰が回ることを主にいいます。
 
そして、鋭いスピンのためには、「しっかりためて一気に放つ」という条件が必要です。
つまり、開くのを我慢して、開くべきタイミングでしっかりと開く、ということです。
そのためにはハの字ステップなるものが必須になってきます。(図5)
fm-hanoji1.gif図5 いい下半身の使い方はハの字
これもまた、形がよければいいのではなく、クリアしておかなければいけない条件があります。
1.エッジングが効き、大きく送り込まれている軸足
2.軸足のかかとがエッジングし続けて、かかとがまだ地面から離れていない程の粘り
3.踏み出す足の太もも、膝、足(つま先)が開かずにいる状態
 
このハの字ステップの場面で踏み足が早く開いていたり、エッジングがディップ気味であると、
バランスの崩れた、見掛けも不自然なステップになってしまいます。
fm-ejjingu1.gif
エッジングの画像を再び使いますが、ハの字ができている右側に比べ、左側は不自然な形に見えます。
 
―――大の字ステップ、Cアーチ
ハの字ステップは、視野を広げると体全体で大の字ステップをしているときでもあります。(図6)
fm-dainoji1.gif図6 体を大きく使えば大の字
大の字ステップは、ハの字ステップと、テイクバックでの腕の形からそう見えるもので、
欲に言うCアーチと呼ばれるもので、体の開きなどをチェックする際に非常に重宝します。
このCアーチについては、テイクバックのページで詳しく説明しているので参照してください。
この大の字では、自分の好調時の形、感覚、タイミングをしっかりと覚えておくことも大事です。
 
―――フローティング・A・S
ステップにはフローティング・アクシス・スピニング(以降フローティング・A・S)と呼ばれるものがあります。
これは、ステップの際骨盤を投球方向に一直線にまっすぐではなく、1塁側へ落とすように重心を下げることで、
下半身のスピン(1stスピン)の速さ、深さを向上させる体の使い方です。
 
フローティング・A・Sを使用せず、まっすぐにステップすると、下半身のスピンを妨害してしまいます。
感覚としては文字通り骨盤を背中側へ落とすようにすることでフローティング・A・Sが可能となります。

fm-huro-thingu.gif
フローティング・A・Sの意識、骨盤を背中側へ落とす

1stスピンが速くなると当然球速が向上しますが、思ったように効果が見られないという方は、
上体を背中側へ傾けるという風に意識を変えてみるのも手です。
# ステップ後半-踏み足の着地
ステップの最後は踏み足が着地する場面です。ここで重要なのは下半身の粘りです。
―――足の着地
まず、踏み足の着地は内側のかかとからするべきです。(図7)
体のスピンを柔軟に受け止めるにはコレしかありません。
fm-humiasichakuti.gif図7 踏み足の着地はかかとの内側から
ただし、これには例外があり、つま先から着地するようなステップもあながち間違いではありません。
このつま先着地をする投手の特徴は、ステップ字に深くひざを曲げることです。(図8、図9)
西武西口投手などに見られる動作で、下半身のスピンが鋭くなる特徴があります。
fm-runoji.gif図8 膝を深く曲げると
fm-tumasakichakuti.gif図9 つま先から着地するステップ
この手のステップについては今後情報を追加しますが、より並進、回旋が鋭くなるとともに
反面、安定性にかけるという厄介なリスクも伴います。
 
―――踏み出す方向
踏み出す方向は一般的な理想は投球方向にまっすぐな線上であるべきです。
しかし、先ほど説明したフローティング・A・Sが効いていると少しアウトステップになります。
 
ただこれはさほど重要視しなくても良く、重要なのは足の向きです。
踏み出した足のつま先が外側へ向いていると下半身が早く開いている証拠です。
理想ではまっすぐ捕手方向か、あるいはそれよりも多少内側です。(図10)
fm-humidasi.gif図10 踏み出す方向、足の向きはまっすぐ捕手方向
これも簡単にチェックできるのでキャッチボールの際に踏み出した足の跡を良く見て、
「今日は少し開いているかな」と自覚し、意識して調整することが簡単に行えます。
 
―――踏み出す膝の開きに注意
踏み出す足が着地しようかという場面では膝の開きにも注意が必要です。
足が着地するまでには1stスピン、下半身はスピンするべきではありません。
膝が開いているということはスピンし始めているか、抑え切れていない証拠です。(追加画像A)
fm-hiza-nebari.gif追加画像A 開いていない膝
 
―――踏み足の角度
また、踏み足は突っ込んでいてもいけません。突っ込むと力の伝動効率が悪くなります。
理想的な角度はひざの内側が100度〜120度前後です。90度以下だと「突っ込んでいる」状態になります。(図11)
fm-humidasi2.gif図11 踏み足は90度以下にならないように
逆に、足が突っ張っていてもいけません。これは深く膝を曲げるステップでなりやすく、
西武西口投手もこの症状気味です。足が突っ張ると膝への負担が大きくなり、故障の元となります。(図12)
fm-tuppari.gif図12 足が突っ張ると負担大
先ほど説明した、大きく膝を曲げてステップする投手は膝が突っ張りやすいのではないでしょうか。
 
またこのとき、軸足が地面から離れるタイミングもチェックします。早く離れれば軸足の粘りが
足りないということです。このときには最低でもつま先が地面をすっている状態であることが望ましいです。
ただ、軸足が上方向に離れるならばそれはわるいことではありません。スピンが鋭い証拠です。
問題なのは、軸足が早いタイミングで前方へ離れることです。
リリースの場面は軸足一本で地面に接しているような場合、軸足の粘りをチェックしましょう。
 
―――エッジングの粘り
ここではつまりエッジングの粘りが重要となってきます。
エッジングでかかとが早く離れるほど軸足の粘りはなくなります。
1つの基準として、踏み出す足が着地する寸前まで維持できれば合格ラインといえます。(図13)
fm-ejji-nebari.gif図13 エッジングの粘り プロ級
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