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index > 投手技術・情報 > ジャイロボール
# ジャイロボールとは? 
 + ジャイロボールとは?
 + マグナスの説明
 + ジャイロ回転と縫い目との性質
 + 伸びるジャイロ、4SG
 + 沈むジャイロ、2SG
# ジャイロボールとは?
ジャイロボールとは、手塚氏によって発見された、進行軸と回転軸の一致した、
今までに比べて特殊な回転をする新しいボールです。
回転と縫い目の位置により空気抵抗が大きく変化し、タイミングをずらす、現代の魔球とも言うべきモノです。
―――「ジャイロボール」の定義
話は変わるのですが、管理人は「ジャイロボール」という呼び名は好きではありません。
なぜなら、一口にジャイロボールといっても、種類や性質はまったく違うものが存在し、
ジャイロボールという一単語でそれらを処理するのは不可能だからです。
だからあくまで、「ジャイロボール=すべてのジャイロボールの種類を含む」と考えられているのです。
こう考えると、ジャイロボールというのは非常に多くのバリエーションが存在することになります。
―――本当の「ジャイロボール」の定義
そんなに多く存在するバリエーションを「ジャイロボール」という単語で片付けるのはどうでしょうか。
なのでココを正式な場とし、ジャイロボールの新たな定義を決めようかと思います。
もちろん一個人の勝手な定義で、世間に通じるかどうかは微妙なのですが、新たな定義を決めて
勘違いや混乱のないわかりやすい定義があればより理解は深まると思います。

2005年版ジャイロボール定義

・まず、「ジャイロボール」という言葉自体は基本的に使用しない。
・主流は4SGと2SGであるので、それらの名前を各自で使用する。
・今現在、「ジャイロボール」は4SGと2SGのみにする。
追記 これはジャイロ効果を最も効果的に表している2球種だけをチョイスしたため。
・そのほかの、ジャイロに近いボールに関しては「ジャイロ系XX」のように定義する。
以上 2005年7月25日現在
もちろんこれは管理人や有能的なプレイヤーや知識を持つ方と話し合った結果での定義で、
いまのところこのサイトでしかこの定義は流通していませんが、後々この定義を
正しい定義としていくつもりです。
この定義に関しては「お前らは何様のつもりで勝手に定義を決めてるんだ」とお思いの
方も少なからずいると思いますが、元祖・大規模投球サイトのメンツを借りて、
自信を持っているからこそこの定義を決めたわけです。
めちゃくちゃな定義でもないですし、むしろこのようにはっきり定義した方が理解しやすい
場面も必ずあるとおもうので、このようにハッキリと定義させていただきます。
この定義に関して質問や意見などありましたら問い合わせからどうぞ。
# マグナスの説明
投球されたボール全般を説明するに当たって、まず基礎知識としてマグナスという力について説明します。
―――マグナスの説明、バックスピン編
下の図はバックスピンストレートの回転です。
j-bakkusupin.gif
進行方向に対し直角な軸が回転軸であるのがバックスピンです。
バックスピンは横から見ると下の図のように回転しています。
img-bakkusupin.gif
このように回転すると、回転の影響で、マグナスという空気力が発生します。
マグナスとは、ボールの回転と周りの空気の流れによって起きる空気力です。
このマグナスはボールを動かす力を与える役目を持っており、投球では非常に重要な知識です。
回転によって、マグナスは決まった方向へ力を働かせます。
バックスピンの場合、マグナスは上方向へと働きます。
このマグナスの働く方向については、回転軸に対し直角方向と決まっています。
時計回りの回転をすればシュート、反時計回りならスライダーすると考えればOKです。
バックスピンでは、マグナスが上向きなのでボールをホップさせようとしているのです。
つまり、バックスピンにはボールをホップさせる上向きのマグナス力があるのです。
―――マグナス発生の原理
ボールにマグナスという空気力が発生することは理解いただけたと思います。
では次にマグナスが発生する原理を説明します。
ボールがバックスピンしながら投げ出されると、ボールは下の図のような空気の流れになります。
img-bakkusupin2.gif
緑の線は空気の流れです。この空気の流れによってマグナスが発生するのです。
ボールの上部は回転に沿って空気が流れるので、空気の流れるスピードは速くなり、気圧が下がります。
ボール下部は回転に逆らった流れのために、流れは遅くなり、気圧はあがります。
これはベルヌーイの原理というもので、飛行機の翼にも同等の力が働いています。
調べればさらに詳しい情報が得られるので各自でドウゾ。ここではそんなに深い知識は要りません。
―――ボールに働く様々な力
ところで、バックスピンにはホップする力が加えられているにも関わらず、実際ホップしてません。
確かに、よく「ホップしてくる」などといった表現が使われることはあるのですが、
実際、理論的には今現在ホップするバックスピンストレートを投げる投手はいないのです。
それには、ボールに様々な力が働き、マグナスがホップするに及ばないからです。
・重力
最もホップを邪魔するのが重力です。重力はご存知のとおり下に働きます。
どんなものでも、地球上にあるものはすべて下方向に重力という力をうけているのです。
ホップするために重力という反対方向の力は邪魔者以外の何者でもありません、
・空気抵抗
ボールは投げると、真空でもない限り必ず空気抵抗を受けます。
マグナスも、この空気抵抗に含まれます。空気抵抗はボールが進もうとする力(後の慣性力)を
邪魔する力です。しかし、この空気抵抗がないとマグナスは働きません。
ボールがホップするために、この空気抵抗・マグナスは必要不可欠なのです。
・慣性力
ボールは投げ出されると、その運動を続けようとする力を持ちます。
これは中学で習う等速直線運動の原理で、それについては大体の人は理解していると思います。
一応説明しておくと、等速直線運動とは、ものがある運動をしているときに、
それと同じ運動を続けようとする原理です。早い話が慣性なワケです。
本来ならば、ボールはその運動を続けようとし、リリースからキャッチングまで同じ運動、
すなわち同じ球速を維持しようとするのですが、コレを邪魔するのが空気抵抗です。
抵抗があるのでおなじ運動を続けることは不可能になり、ボールは減速しながら進むというわけです。
以上のものがボールに働く主な力です。
―――やっぱりホップしない?
ではなぜホップするバックスピンが不可能なのかという事ですが、理論的には可能なのです。
しかし、条件が厳しく、とても人間の手には負えないほど難しいことなのです。
まず、硬式ボールはボールの大きさの割合には重量が重く、そのため重力を強く受け、
また小ささゆえにマグナスも発生はしますが力自体は弱く、とてもホップさせるのは大変なのです。
条件としては、ボールをホップさせるためには球速を速くするか、回転を多くすることが
必要なのですが、現在のプロ野球の中でもトップクラスの球速と回転数を誇る西武松坂投手でも
ホップさせることは不可能です。彼の場合、好調時で1秒あたり38回転という驚異的な数値ですが、
ホップさせるためには150キロでも50〜60回転必要だといわれています。
豪腕メジャーリーガーだと、160キロ以上を投げる投手もいるので、もう少し条件は
やさしくなりますが、それでもまだホップするまでには至らないのです。
―――ジャイロ回転のマグナスと性質
ジャイロ回転は回転軸と進行軸が一致した、特殊な回転です。
j-junseijairo.gif
このジャイロ回転(あくまで進行軸と回転軸が一致した純正のジャイロ回転)には、
悲劇的なことにマグナスが発生しないのです。回転軸の関係から、マグナスとは無縁です。
ジャイロ回転にマグナスが発生しないということは、重力・空気抵抗をモロに受け、
それらの影響で沈むボールとなるのです。これが縦のスライダーとも呼ばれているモノです。
次の章より、ジャイロボールの本質、縫い目と空気抵抗の関係について説明します。
# ジャイロ回転と縫い目との性質
この章より、縫い目を考慮に入れていきます。
まず先ほど説明した純正ジャイロに、2つの縫い目パターンを当てはめます。
つまり、ジャイロ回転が縫い目との違いでどんな差が生まれるかを調べるのです。
1つは縫い目の位置が対照的な位置にある対称ジャイロです。
j-taishou.gif
もう1つは対称の位置にない非対称ジャイロです。
j-hitaishou.gif
たったこれだけの縫い目の位置の違いなのですが、ひとまず実験してみます。
球速、回転数、回転軸、打ち出し角度などすべて一緒で、これらボールを投げ出し、差を調べるのです。
実験では、発射角を水平に、初速150キロで投げ出します。実験結果は以下。
 
対照ジャイロの場合
終速142キロ、落差101センチ
 
非対称ジャイロの場合
終速131キロ、落差110センチ
 
このような実験データになります。
どちらのボールとも、ジャイロ回転ですのでマグナス力は発生せず、落ちるボールと
なるのですが、その終速と落差に明らかな差が生まれます。
なんと、縫い目の位置が違うだけで速度11キロ、落差9センチの差ができます。時間差は0.02秒です。
時間差はたった0.02秒ですが、140キロのボールは約80センチ進みます
 
つまり、縫い目の位置を変えるだけで約80センチ分タイミングをずらすことができるのです
これはジャイロの回転であるからで、同じ縫い目でもバックスピンではこれほどの差にはなりません。
これらのデータはつまり、縫い目が対称面を向いたジャイロは空気抵抗が少なく
非対称面を向いたジャイロは空気抵抗が大きいという結論につながります。
この対称ジャイロ、空気抵抗が本当に少なく、バックスピンよりも断然少なく、落差は1m以上あるにも
かかわらず、同じ初速のバックスピンと対称ジャイロを比べてもほぼ同じタイミングで到達します。
考えてみると、1m以上落ちるボールとほぼまっすぐ進むボールが同じタイミングだというのですから、
よほど対称ジャイロが速く到達しているのがわかります。
 
この章で言いたいことは、対称面を向いたジャイロは抵抗が少なく、非対称面のは大きいということです。
# 伸びるジャイロ、4SG
さて、ジャイロボールのコンテンツである以上、このボールの話をしないわけにはいきません。
伸びるジャイロ、いわゆるフォーシームジャイロ、4SGです。
―――4SGの回転
このボールの回転ですが、なかなか面白い回転をしています。
バックスピンのマグナス、つまりホップするような性質と、対照ジャイロの速く到達する
性質を足したようなもので、幻のファストボールにふさわしい球質をもっています。
その回転はと言うと下の図のように、ジャイロとバックスピンを足して2で割ったような、
バックスピンの混ざったジャイロ回転なのです。
j-4sg.gif
―――断然ノビがあり、ホップしてくる
まず、これと対戦した打者は、「伸びてきてホップしている」というイメージを受けるそうです。
実際、対称ジャイロの高速度で速く到達するという性質を受け継いでいるために、
バックスピンストレートより速く到達し、打者にとっては非常にノビのあるボールだと感じるのです。
 
そして、伸びてくるので打者は高めの釣り球でも振ってしまう傾向があります。
それはつまり、打者が予想したポイントよりも高いポイントを通過するということです。
打者から見れば、思ったより断然速く(この場合早くでも通じる)、しかもホップしてくるのが4SGです。
―――ホップしていない4SG
しかし残念なことに、打者の感性は間違いなのです。
思ったより早く到達することは確かなのですが、ホップはしていないのです。
間違いというよりは、そういった感じに感覚を狂わされているのです。
しかし、ノビのあるバックスピンストレートでもホップしているように感じて、実際ホップしていません。
あながちそんな大きな勘違いではないと思ってしまいますが、予想以上に伸びてくる4SGと
バックスピンでは打者の感性はまるで違います。4SGのほうがホップしていると感じているはずです。
 
ではなぜ4SGはホップしているように感じるのでしょうか。理由としては・・・
・ノビ自体が良いので間違いやすい
・そもそも4SG自体の特性
というのが挙げられます。重要なのは後者です。
 
4SGは理論的にはバックスピンより沈んでいるのです。まずコレを説明します。
ボールをホップさせる力である上向きのマグナスは、バックスピン状態が最も大きいのです。
最大限の上向きのマグナスを生み出すバックスピンに、ジャイロという余計な回転が加わると
上向きのマグナス力は低下してしまうのです。つまりホップしにくくなるのです。
なので、4SGはバックスピンよりも沈んでいるのです。
 
4SGがホップして見える理由はもう1つあります。
今説明したとおり、4SGはバックスピンより沈みます。
同じところに投げようとすると、バックスピンよりも多少発射角を投げ上げなくてはいけません。
それに加え、4SGのリリースも少し特殊で、自然と上向きに投げ上げているのです。
次の図を見てください。バックスピンと4SGの軌道です。
jairo-kidou.gif
打者は、普段からバックスピンになれているので、4SG特有の軌道に慣れていません。
4SGを投げると、打者はバックスピンの感覚から、青の線にボールがくると予測します。
しかし、4SGはその打者の予測ラインよりもボール数個分上を通過するのです。
つまり、打者からしてみれば、ボールが思ったよりも上を通過しているのです。=ホップ
バックスピンになれきったベテランほど感覚が狂いやすい傾向があります。
4SGは到達が速いのでこのホップしてくるボールに対処するのも難しく、アッパースイングになったり
差し込まれてフライやゴロになってしまうのです。魔球というしかありません。
これが伸びるジャイロ、4SGの正体です。
# 沈むジャイロ、2SG
もう1つのジャイロボールもまた厄介なボールです。
4SGが速くて厄介ならば、ツーシームジャイロ(2SG)は遅くて厄介なボールなのです。
この2SGは、実験で試したあの非対称面を向いたボールと同じです。純正ジャイロなのでマグナスが生まれません。
復習すると、非対称ジャイロは空気抵抗が大きいため到達が遅く、沈む性質を持っています。
そのため、4SGに対し、打者が思ったより到達しない、遅球なのです。
しかし、チェンジアップのようにただ球速が遅いという単純なボールではありません。
最も厄介なのは、途中まで速球に見えるというところです。チェンジアップは最初から遅い球ですが、
2SGは最初はある程度速く、途中から大きく減速してタイミングをはずすのです。
打者がボールを見極めるのがより難しく、見極めても今までの感覚がそれを邪魔するという厄介なボールです。
 
また、リリースの特性上、チェンジアップのように抜く必要はなく、自然と初速が遅くなるので、
ちょうどいいほどに速く、そして後半に大きくブレーキングしてさらに沈むのです。
遅すぎるこのボールに対処しきれない打者は、沈むボールなのにそのさらに下を振ってしまうということがあります。
これは普通のボールではまず考えられないことです。
カーブやフォークに空振りするのは普通その変化についていけずにボールの上を振るモノなのですが、
この2SGはボールの下を振ってしまうのです。それだけ遅すぎて対処できないということです。
さらには、コレと対戦した甲子園レベルの高校生でも、「わかっていても待ちきれない」そうです。
普通は球種がわかっていれば打てますが、感覚を狂わせて打つことができないのが2SGなのです。
4SGに対しては一見地味ですが、ポテンシャルはむしろ2SGのほうが高いと考えられます。
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